★ ★ 障害のある人に出会ったら… ★ ★
誰もが安心して出かけるには、まちの設備に加えて一緒に出かける人が増えていくことが必要です。
まずは、車いすを利用している方と一緒に出かける方法や留意点をご紹介します。
車いすを押す
写真のように、傘を持つくらいの力で、ハンドグリップを持ち、前のほうを見て、進みます。
もし、もう一人いるようなら、車いすの人の隣で話をしながら、歩くと心のバリアフリ―につながります。

キャスター(前輪)上げ
写真のように、グレーチング(溝のふた)のすきまにキャスター(前輪)がはまってしまうことがよくあります。

そういう時は、下の写真のようにキャスター上げで進みます。キャスター上げは、段差やじゃり道などにも活用します。
1) ティッピングバーを踏むと同時にハンドグリップを後方に下げます。利用者が不快に感じない程度のスピードで手早く操作するのがポイントです。
2) キャスターを浮かしたまま、後輪だけでバランスをとって進みます。

写真のように斜めに横断しても、スムーズに進むことができます。

段差の上がり方
1) ティッピングバーを踏んで前輪を上げ、キャスター上げのまま、前に進み、段の上に前輪をのせます。

2)
さらに前進し、後輪が段にぶつかったところでハンドグリップを持ち上げずに、段にそって後輪を押し上げます。
できるだけ衝撃を少なくするよう気をつけましょう。

階 段
1) 車いすを前向き(降りる時は後ろ向き)にし、ブレーキをかけて安全を確認します。

2) 介助者は各自の持ち場(左右、後)につき車いすを持ち上げます。

3) 歩調を合わせ、ゆっくり一歩一歩階段を上がります。

介助者が4人だと、ますます安心です。その場合、後ろの二人はハンドグリップとティッピングバーをしっかり持ちます。

注) ティッピングバーとレッグレストパイプを持ちます。特にアームレスト、バックレストが取り外し式の場合は、ここを持たないように注意します。

視力障害のある方との外出について
視力障害のある人達の外出には、白杖を使用してひとりで外出する人達、盲導犬をパートナーとして外出する人達がいます。
しかし、不慣れな街を歩行するときや道路上に障害物があったり、車、自転車の往来が激しい時など外出には危険が数多く溢れており、周りの人たちの適切な配慮が必要な時があります。
このコーナーでは、視力障害のある人たちが安心して外出できるための配慮をいくつかご紹介します。
点字ブロックの確保
歩道などに黄色の点字ブロックが設置されていることはご存知ですか。駅のホームなどでよく見かけますよね。こうした設備は、視力障害の人達にとって、危険箇所を知らせたり、真っ直ぐ歩くために誘導してくれるとても大切なものです。
安全な外出のために点字ブロックの上はもちろんのことその周りには自転車や物は置かないようにしましょう。
近年は公共施設のみならず、民間施設の中にも点字ブロックや点字ボードを設置するところが増えていますが、まだ僅かな地域や建物に留まっています。
皆さんが点字ブロックを意識していただくことによって、そのような場所が増えていくことを願っています。
盲導犬に出逢ったら
盲導犬はペットではありません。
視力障害のある人にとっては命を守るパートナーです。
ですから、ハーネスという黄色い盲導犬の目印を装着している時は、視覚に障害のある人を安全に導くためのお仕事をしている時ですから、可愛いからといって、えさを与えることはもちろんのこと、声を掛けたり、
なでたりしないでください。
最近、テレビなどで盲導犬の活動が紹介されていますが、関係者の懸命な努力が続いている中、一頭、一頭の盲導犬が視力障害の人達の歩行の安全に役立つパートナーになるまでには多くの時間と資金が必要です。視力障害の人達が安心して外出できる環境を生み出すために、盲導犬の普及に多くの支援が望まれるところです。
困っているところを見かけたら
もし、まわりに白杖をもって、立ち往生しているなど困った様子の人を見かけたら、 近寄って、正面からそっと 声をかけてみてください。
たとえば・・・ 「よろしかったら、改札口まで肩を貸しましょうか」 「どこかをお探しですか。
よろしかったらご案内します」などです。
そのときには、相手の人と少し距離をおいて声をかけることも必要です。
姿が見えない人に突然、近くで声を掛けられたら誰でもビックリするでしょう。
大切なことはどのように親切な心をもっていても、案内や誘導などを無理強いしてはならないことです。
経験の少ない頃には少しむずかしいかもしれませんが、このような声かけが街にあふれてくることが、視力障害のある方だけでなく、誰もが安心して暮らせる街には必要なことだと思います。
一緒に歩くときは…
信号を渡るなど視力障害の人と歩く時は、白杖を持っていない側(※一般的には右側に白杖をもつ方が多い)に立ち、ひじ または 肩のところを視力障害のある人に手を掛けてもらい、相手の歩調に合わせながら半歩先を歩きます。
背中や肩を後ろから押したり、杖や衣服をつかんで引っ張ったりするようなやり方は不安感や恐怖感を与えますので、絶対しないでください。
道路の障害物や危険物の存在、街の様子や行き交う人達のことなどを説明しながら、明るい雰囲気をつくりながら安全歩行を継続出来れば、視力障害の人達にとって、外出がより一層楽しいものになることでしょう。
できれば、歩行を誘導する・・という気持ちよりも、気の合った友人と連れ添って歩く・・という気持ちをもって行うガイドヘルプができれば素敵ですね。
聴力障害のある方とのコミュニケーション
はじめに
耳の不自由な方とのコミュニケーションを豊かなものにするためには、私たちがいくつかの簡単な配慮を行う
ことによって、もっとスムーズに行うことができます。
そのポイントをご紹介します。
コミュニケーションの方法
耳の不自由な方とのコミュニケーション法には、①読話(口話)、②手話( 指文字・ジェスチャー)、③筆談( 空書)、④手話通訳士を介す、⑤ FAX、電子メール、⑥トータルコミュニケーションなどが挙げられます。
①読話(口話)
相手の唇の形や動きを読みとって、相手の言葉を理解する方法を読話といいます。
読話では訓練が必要で、神経を集中しなくてはならないため、長時間の会話には適していないでしょう。
②手話( 指文字・ジェスチャー)
手話は、音声言語と全く別の体系を持った手指の動作等で表現する独自の言語で「手指法」ともいわれ、手の動きを中心として、身振り・表情で概念や意思を伝えるもので、耳の不自由な方とのコミュニケーション方法として最も一般的です。
しかし、手話のできる方は限られており、すべての耳の不自由な方ができるわけではありません。
③手話通訳者を介す
手話通訳者は、聴覚障害者と健聴者との間に立って通訳をし、スムーズなコミュニケーションに重要な役割を担っています。
筆記試験と実技試験による厚労省公認の試験制度があり、手話に関する専門的知識と技術が要求されます。
④筆談( 空書)
紙に文字を書く方法のほか、宙に文字を書く空書という方法も使われます。
うるさい場所や補聴器が使用できない場合に便利で、わかりづらい言葉の伝達にも活用できます。
⑤ FAX、電子メール
耳の不自由な方は、電話が使用しにくいため、一般的にFAX やメールを用います。
ですから、通知や印刷物などにも、FAX 番号やメールアドレスなどをできるだけ表記しましょう。
最近では、簡易筆談器や携帯電話の普及から、筆談の代わりとして普及しているようです。
⑥トータルコミュニケーション
トータルコミュニケーションは、確実なコミュニケーションの成立のために、上記の方法をはじめ利用できるすべてのコミュニケーション手段を使用することを指しています。
耳の不自由な方とのコミュニケーションで一番大切なのは、「相手の言いたいことを聴く姿勢」と「その方が望むコミュニケーション方法の理解」です。
まず、ご本人に、どういう方法が良いのかを聞くことからはじめましょう。
コミュニケーションをするための配慮
まず、呼びかけをするときには、声だと聞こえない場合があるので、肩を軽くたたくか、テーブルを軽くたたいたりして注意を引きましょう。
彼らにとって、だれか自分に話しかけてきているということを知るのは非常に重要なことです。
相手からよく見える場所に移動し、お互いが見えるようにしましょう。
あなたの顔がよく見えるように、正面から話しかけてください。
話し手の顔の表情と口の動きは耳の不自由な方にとって非常に重要です。
但し、理解度を損なうことがありますので、必要以上に強調しないようにしましょう。
物を食べたり、ガムを噛んだり、またタバコを吸って話さないようにしてください。
これらの行為によって、あなたが言っていることがさらに理解しづらくなります。
適度なスピードではっきり話し、叫んだり、ぼそぼそと話さないようにしてください。
3 人以上の時も 2 人一緒に話しかけず、1 度に1人ずつ話しましょう。
騒がしい場所で話すことは、避けましょう。
誤解を避けるために、大事なことは確認するようにしましょう。言葉によって、意味がわかりづらいこともあります。
繰り返しても理解ができない時は、違う言葉を使って言い直しましょう。
口話の場合の配慮
1
ゆっくり、口の形をはっきりとすると相手が理解しやすいです。
しかし、大声を出すと、補聴器が極端に増幅された音声をカットするため(耳の安全を守るため)、逆に聞き取りにくくなることがあります。
2
『今日は良い天気です』は、「今日は・良い・天気です」というように区切りながらしゃべると相手が理解しやすいです。
しかし、「き・ょ・う・は・よ・い・て・ん・き・で・す」 と細かく区切りすぎると、逆に相手が理解できなくなります。
3
また、ザワザワしている所は、他の雑音も耳に入るため、相手は理解しにくくなります。
(聴覚障害者は補聴器をつけると、雑音も一緒に耳に入り、雑音だけをカットすることはできません。)
4
ジェスチャーも交えながら話すともっと良いでしょう。
筆談の場合の配慮
1
できれば、向かい合って座るのではなく、隣かコーナー側に座ります。(向かい合った状態では、書く側の字と見る側の字が正反対なのでわかりにくいです。)
2
聴覚障害者の中には、言葉の理解が苦手な人もいます。
筆談では、一文は短くするようにし、二重否定や、あいまいな表現は使わないようにしましょう。